ケビン・デュラント——。
得点王で、NBAチャンピオンで、オールスターで、オリンピック金メダリスト。
スーパーソニックス(現サンダー)時代は生え抜きのエースでしたが、チャンピオンリングを求めてウォーリアーズに移籍。
「最も困難な道を選んだ」と語ったわりには、すでに強豪だったウォーリアーズを選んだとところから、デュラントはヒールとしての面も強めていきました。
そんな彼も35歳。
一般的に全盛期と言われる時代を過ぎ、キャリア晩年に差しかかっていることは間違いありません。
そこでそんなデュラントについて、いま一度おさらいしていきます。
バスケットを愛し、バスケットに愛されたものの、一方で「人の愛し方が分からない」とうつむく弱々しい一面も見せるデュラントのキャリアを掘り下げます。
キャリアおさらい
まずはデュラントのキャリアを、スタッツと受賞歴から振り返ります。
キャリアスタッツ
平均得点数:27.4得点/試合
平均リバウンド数:7.0リバウンド/試合
平均アシスト数:4.4アシスト/試合
フィールドゴール成功率:50.1%
3ポイント成功率:38.7%
フリースロー成功率:88.4%
eFG %:55.2 %
Efective Field Goal percentageの略。3ポイントシュートが2ポイントシュートよりも1点得点が多いことを加味したシュート成功率のこと。すべてのシュートを総まとめにしたFG %よりも、勝敗への相関関係が高く、より正確にシュート力を表すとされる。
圧巻ですね。
スモールフォワードでありながら2m11cmと高身長で、リバウンドも多いです。
シュート成功率も高く、特に最近は得点マシーンよりは、オールラウンドな活躍を見せてくれています。
ポイント①受賞歴
2007年ドラフトで全体2位指名されたデュラント。
これまでの数々の受賞歴から、偉大さを振り返ります。
※()内は受賞回数
・最優秀新人賞 ※もちろん、オールルーキチーム選出
・NBAチャンピオン(2)
・NBAファイナルMVP(2)
・シーズンMVP(1)
・得点王(4)
・オールNBAチーム選出(10)
・オールスター選出(14)
・オールスターMVP(2)
・NBA75周年記念チーム選出
華々しいですよね!
自身が優勝したチャンピオントーナメントではすべてファイナルMVPを獲得しております。
「トロフィー欲しさに、すでに強豪だったウォーリアーズに移籍した」と非難されたデュラントですが、おんぶに抱っこで優勝したのではなく、どころか自身がウォーリアーズを導いていたことを、この実績が物語っています。
彼が非難されたのは、むしろ舌禍的なところがあるというか…。
「最も困難な道」とか、言わなきゃよかったんですよね。
ポイント②GOATなのか
ここではデュラントのプレースタイルと特徴について、動画を交えながら見ていきます。
デカくて速くて器用な点取り屋
リーグ屈指のスコアラーであるデュラント。
今年3月にはシャキール・オニール2万8596点を抜いて、通算得点でNBA史上8番目の選手として名を連ねました。
これに関しては、シャック本人が祝福のメッセージをおくっています。
“Well deserved. It doesn’t stop here… If anybody was gonna pass me, it was definitely gonna be you.”
🗣️ @SHAQ congratulates Kevin Durant on passing him on the @NBA all-time scoring list pic.twitter.com/PBHr84Jy0X
— Phoenix Suns (@Suns) March 21, 2024
ジャンプシュート
そんな点取り屋の最大の武器は、ジャンプシュートですね。
2m11cmもの身長から繰り出されるプルアップは特に強烈で、最高打点までいってしまえば、あとはもう外れるのを祈ることしかできません。
3年前ですが、楽天がまとめ動画を出してくれているので、ぜひご覧ください。
ドリブル
ドリブルスキルも一級品ですね。
2m25cmもあるウイングスパン(左右の腕の長さ)から繰り出されるクロスオーバーは、これまで多くの選手の膝を破壊してきました。
ていうか2m25cmのウイングスパンって、なんだよっていうね…。
一瞬でボールが、人間一人分以上移動するわけですから、そりゃついていけないですよ。
ポストアップ
ポストアップも止められないんです…。
高身長と、上述のジャンプシュートスキルから、デュラントのポストアップはともはや悪夢です。
基本的にデュラントは普通の3番、4番の選手とのマッチアップではミスマッチを作れますので、バックダウンで押し込んで行ってもよし。ターンアラウンドでジャンプシュートで沈めてもよし。
まさに、変幻自在の攻め手を駆使する選手です。
こんなすごいのにGOAT論争に含まれない?
偉大な実績を残すデュラントですが、NBA史上最も優れたプレイヤーは誰かという議論「GOAT論争」には、しばしば含まれません。
一体なぜでしょう?
これに関しては、ドレイモンド・グリーンが簡潔に説明してくれています。
Draymond explains why KD isn’t in the GOAT conversation yet 👀 @TheVolumeSports pic.twitter.com/DaNw2Fyy8R
— Bleacher Report (@BleacherReport) January 23, 2024
「俺は『KD(ケビン・デュラント)の優勝がリアルじゃない』なんて言うつもりはない。もうやめるんだ。リアルじゃない優勝なんてない」
これは、デュラントのウォーリアーズでの優勝はKDが強いチームにいっただけであり、実力ではないという指摘に関しての発言です。
確かに、デュラントが移籍した2016-2017、2017-2018シーズンのウォーリアーズは、デュラントが加入する以前から強かったのは事実です。
直前の2015-2016シーズンのウォーリアーズは73勝9敗で、脅威の勝率89%を記録していたわけです。
最後はレブロンとカイリー擁するキャバリアーズに負けてしまいますが、この時点ですでにウォーリアーズは歴史的な勝率を記録するほど強いチームだったということは事実です。
ただし、2017年の優勝では、ファイナルMVPに選ばれたのはデュラントです。
ウォーリアーズはカリーのチームであることは間違いありませんが、このとき最もウォーリアーズをけん引したのは、デュラントだったわけです。
以上から、デュラントをGOAT論争に含めないのは無理があると言えます。
グリーンの言うとおりですね。
ポイント③愛し方がわからない
デュラントの人柄を知るうえでは、「なぜ彼が独身なのか」についても言及しなくてはなりません。
それはデュラントの人柄を、端的に表しているからです。
2013年の7月から元WNBAのスターであるモニカ・ライト氏と交際し、婚約していたデュラント。しかし翌年には破局してしまいます。
このことについて、米大手GQのインタビューにてデュラントは「どうやって人を好きになって、愛せばいいのかが本当に分からない」と告白しています。
また今年の4月には、突如自身のインスタグラムにて「私が独身である理由」と題した画像を投稿。
そこにはデュラント自身による、9つの欠点が列挙されていました。
Kevin Durant on why he’s single. 👀
(Via @KDTrey5 IG) pic.twitter.com/TD0aSGebv2
— NBACentel (@TheNBACentel) March 30, 2024
私が独身である理由
1.ひどく考えすぎる性分だから
2.あまりにも深く気を遣ってしまうから
3.安定思考だから。(家に着いたらメッセージを要求するなど、)安心して眠りたい性分だから
4.自分自身、エネルギーに満ちあふれているから
5.半分もお返ししてくれない人に、自分のすべてを捧げてしまうから
6.相手が幸せになるなら、たとえ自分が傷ついても何でもしてしまうから
7.いかなる時も私には安心が必要だから
8.お互いにエナジーを与え合う関係でないと感じたら、相手と距離を置いてしまうから
9.古典的なロマンスが好きだから。そしてそれは、もはやこの時代のものではないから
これを見て、何を感じるかは人それぞれだと思います。
ただ一つだけ明らかなのは、世界最高峰にバスケがうまくても、愛に不器用な人はいるということ。
個人的な感覚ですが、こういうのをあまりちゃかさないでほしいと思いますね。
こういう投稿をしちゃうデュラントに問題があると言えばそうなんですが、これは生涯独身宣言にも思えるっていうか…。
デュラントはまだ35歳。これから何があるかなんて、分かりませんよね。
彼の望む古典的なロマンスが何かはわかりませんが、きっとわかってくれるパートナーが現れるのだと思います。