日本代表が48年ぶりに、オリンピック出場を自力で確定させました。
あの激戦の感想や感動はまた別の機会にたっぷり書くとして!
ワールドカップを見ていると、世界には様々なバスケリーグがあることを実感しますね。
当ブログではNBAが最高峰だと何度も述べてきましたが、どのリーグも、唯一無二であるという点では同じです。
少し前のCBA(中国)のように、NBA選手の引き抜きに積極投資していたリーグもあれば、ユーロリーグのように国際ルール準拠の最高峰として存在感を強めるリーグもあります。
そんな中で、近年に独自の生存戦略で世界の注目を集めるリーグがNBL(オーストラリア)です!
現在NBAのホーネッツに所属するラメロ・ボールがNBA入りの前に所属していたりと、近年はNBAファンやバスケファンの間で、NBLの名を聞く機会が多くなったように感じます。
また、日本代表選手・馬場雄大選手が在籍していたリーグとして記憶している方もいるのではないでしょうか。
とはいえ、NBLについて国内で全試合配信しているメディアはありません。
NBLのスター選手と言われても、正直、まったくピンときません…。
これではNBLがどれくらいのレベルのリーグなのかが見えてきませんね。
馬場選手がNBLで優勝した実績というのは、果たしてどれくらい世界的に認められるものなのでしょうか?
そこで今回は、NBLというリーグについて、NBAと比較しながら整理していきます!
NBAを水準に置くことで、NBLの水準が具体的にわかるはずですよ!
そもそもNBLって?
まずはNBLというリーグの概要について、詳しくみていきましょう!
所属チームは全10チーム
NBLの発足は1978年です。
正式名称はNational BasketBall Leagueで、オーストラリアのプロバスケットボールリーグです。
現在の所属チームは次の10チームです。
・アデレード・サーティシクサーズ(アデレード)
・ブリスベン・ブレッツ(ブリスベン)
・ケアンズ・タイパンズ(ケアンズ)
・イラワラ・ホークス(ウロンゴン)
・メルボルン・ユナイテッド(メルボルン)
・ニュージーランド・ブレイカーズ(ニュージーランド・オークランド)
・パース・ワイルドキャッツ(パース)
・サウスイーストメルボルン・フェニックス(メルボルン)
・シドニー・キングス(シドニー)
・タスマニア・ジャックジャンパーズ(タスマニア)
※()内はホームタウンです
NBA選手育成に活路を見出す
NBLの発足時、リーグはエンターテイメントとしては想定されていませんでした。
当時の運営組織は国内競技連盟が行なっており、テレビ放送すらほとんどなかった状況だと言われます。
NBLコミッショナーのジェレミー・ローリガー氏はイベント登壇時、「リーグのスタッフはわずか6名。テレビ放映も各試合日に2試合のみで、当然国内の認知度は上がらなかった」と述べていますね。
そうしてNBLは2012年に経営破綻に至るのです。
その後はローリガー氏が指揮を取り、NBLは国際リーグ化を推奨。
NBLはここ数年、NBAを見つめています。
代表的な取り組みの1つに、NBL NEXT STARSがあります。
これは、NBAからのドラフト指名を目指す若手有望選手を国外から勧誘してきて、最低1年間以上、NBLで経験を積ませるプログラムです。
2018-2019シーズンより始まったこのプロジェクトでは、すでに8名のNBAドラフト指名選手を輩出しています。
ホーネッツのラメロ・ボール、サンダーのジョシュ・ギディーなど、1巡目指名選手を輩出した実績もあります。
https://twitter.com/NBL/status/1479301169788817409?s=20
当時、1巡目指名確定と言われたラメロが、わざわざ武者修行にオーストラリアに行くと聞いたときは、驚きました…。
NBLがNBAドラフト選手を育成するという道に勝算を見出したのは、そもそもNBAのドラフトの仕組みに要因があります。
NBAドラフトにエントリーするには①19歳以上であること、②高校を卒業して1年以上経過していることの2つの条件があります。
つまりドラフト指名されてNBA選手になるには、基本的に大学にいかなければならないことになります。
NBAと大学については、メロのキャリア解説で触れましたね。
アメリカの大学では、将来 NBA入り確実と言われていようが、学業が第一であることに変わりありません。
ここでミスマッチが起きます。
「バスケするために大学に入った若者」と、「大学に入ったからには学業優先だ」という大学の対立です。
また学費の問題もあります。
奨学金を獲得できるくらい高校時代から名を馳せた選手は良いでしょうが、すべての選手が有力大学から奨学金を獲得できるほど、門戸は広くありません。
つまり、NBAでドラフト指名されるためには大学に行く必要があるものの、「学業との両立が求められる」、「学費負担が大きい」という2つの壁が立ちはだかるわけです。
となると当然、「本当に大学進学がドラフト指名のためのベストの選択肢なのか?」と考え始める選手が現れるわけですね。
NBLが活路を見出したのは、正しくここなんです!
NBL側から初めてスカウトをかけたアメリカの有望高校生選手は、テレンス・ファーガソンでした。
すでに有力大学であるアリゾナ大学から奨学金が確定していたファーガソンは、結局大学には進まずにサーティシクサーズでプロになることを選びます。
そうして翌年にNBAドラフトにエントリー。見事、サンダーから1巡目21位でドラフト指名を受けたのです。
NBLがファーガソンの心を動かすことができたのは、「19歳になるまでの1年間でプロ選手として経験を積みつつしっかり稼げる」と訴求したからです。
実際、ファーガソンはサーティシクサーズ所属時代に50万ドル(7000万円)を稼いだと報道されています。
※1ドル=140円で換算
また海外リーグとはいえ、英語が通用する国だった点も大きいでしょう。
中国がヨーロッパのリーグとは違って、言語によるストレスがほぼ皆無ですよね。
ファーガソンのような選手が今後もたくさん増えれば、彼らがNBAに入った際に必ずNBLでのキャリアを紹介されますよね。
すると、これからNBAを志す選手たちにとっての、大変良いPRになるわけです。
NBLから声をかけるまでもなく、馬場雄大選手のように、続々と海外から選手が集まれば集まるほど、世界中で試合視聴者も増えるでしょう。
広告収益もますます拡大していくはずです。
これがNBLの独自性なのです。
ファーガソンとNBLの事例は、米国内大学には大変脅威です。
そもそもNBAを志す選手の多くは、NBAでドラフト指名されるために大学に通っている側面があります。
本質的に、学業を志す学生とは違うのです。
こうした選手が
「NBA入りまでの1年間だけいてくれればいいよ〜」
「年俸はNBAほどじゃないけど、スポンサーがたくさんついて50万ドルは稼げるよ〜」
「家と車はこっちで用意するよ〜」
「勉強したければ、NBA入りしてからでもいいんじゃない?」
というNBLの甘言に勝てるとは思えませんね…。
これは極めて効果的なNBLの戦略であるとともに、米国内の大学にとってのアキレス腱になり得るかもしれません。
NBAとのルールの違い
それでは具体的な比較に移りましょう。
NBLは基本的に、国際基準であるFIBAルールに準拠しています。
NBAとの最大の違いとして最低限押さえておくべきは、ディフェンス3秒ルールでしょう。
ディフェンス3秒ルールは、マークマンから一定の距離を空けたディフェンダーが、ゴール付近に3秒以上滞在してはならないという規則のこと。
NBAはオフェンス有利のゲームバランスを意識していているため、このルールを設けました。
NBLには、元々存在していないのですね。
そのほかにも、ルールの違いは多数あります。
細かく知りたい方は、こちらで詳しく解説していますので、ぜひご参照ください!
NBAとの規格の違い
リーグの規格でも様々な違いがあります。
大きく3点を比較してみましょう。
試合数
NBLには現在10チームが所属しています。
各チームは毎年12月から翌3月まで、計28試合(ホーム14試合、アウェイ14試合)を消化します。
これがレギュラーシーズンですね。
レギュラーシーズン上位1位から4位は、優勝決定戦に進みます。
1位が4位と、2位が3位が2勝先取の最大3試合で対戦。
勝利チームがいよいよグランドファイナルに進みます。
最大5試合、3勝先取で優勝です!
年間82試合をこなすNBAと、最大でも36試合しかプレイしないNBLでは、時間の流れが異なります。
NBL所属のヴィック・ロウはこの時間の流れ違いに触れ、「NBAのほうが少しだけ、点が取りやすいように感じる」と言っています。
NBLでは次の試合まで1週間開くこともざらにあるということで、互いによくゲームプランを練って試合に臨むそうです。
これは実際に私がNBLの試合を10試合ほどYoutubeで観戦した感覚ですが、確かにとても戦術的なんです!
ボールをよく回し、タフなショットを避ける傾向が強いですね。
あと、みんな従順です。
ハイポストから攻撃を作る戦術が効果的だとわかれば、愚直にそれを遂行しますよね。
相手の弱点を見つけて一点突破を繰り返す戦い方は、個人的には大好きです!
守備でもみんなよく走るし、とても献身的なんですよね。
NBA選手は守備を軽んじる輩も多いので…。
観客数(アリーナ規模)
NBAのアリーナの収容人数では、ロサンゼルスのステイプルズセンター(現クリプトドットコムアリーナ)が最大2万人、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンも約2万人です。
statistaによると、2021-2022シーズンの1試合平均集約数は1万7184人でした。
これに対して、NBLは2019-2020シーズンの1試合平均集客数が6874人だったと公表しています。
NBAのだいたい4割くらいですね!
ちなみに、Bリーグはどれくらいだと思いますか?
B1の2022-2023シーズンの入場者数は平均3466人で、過去最高でした(レギュラーシーズン終了時点)。
こう見ると、NBLもかなり多いですよね!
年俸
2022-23シーズン時点で、NBAの全選手平均年俸は約800万ドルでした(約11億円)。
す…すげぇ…。
一方のNBLは10万9000ドル(自国選手のみ)です。日本円で約1500万円ですね。
最高年俸と最低年俸も比較してみます。
ここでは一覧表にしてみます。
詳しくはこちらの記事書いていますので、ぜひご参照くださいー。
まとめ
いかがでしたでしょうか!
今回は馬場雄大選手も所属していた、NBLについて詳しくみていきました。
上で述べたとおり、NBLの特筆すべき点はその生存戦略です。
今後ますます、NBA入りを目指す海外選手が、NBLの中継を真剣に検討していくでしょう。
現状、NBLを視聴するにはhttps://nbl.com.au/tvが鉄板ですが、こちらは月5欧ドル支払う必要があります。
一部試合はYoutubeやTwitchで視聴できますので、まずはそちらから観戦してはいかがでしょうか?
管理人は、正直とても魅了されましたよ!