NBA以外のリーグ

Gリーグの年俸は600万円!Bリーグとどっちがハイレベル?

NBAと切っても切り離せない存在。
それがGリーグです。

リーグの発足は2017年ですが前身となるリーグがありまして、NBA Development LeagueでDリーグの名称で知られていました。

とはいえ、存在意義やNBAとの関係性はDリーグもGリーグも変わりません。
いずれもNBAの下部リーグとして、重要な役割を果たしています。

またGリーグといえば、かつては富樫勇樹選手や渡邊雄太選手、馬場雄大選手も所属していたリーグですね。

彼らは果たしてどんな経路でリーグに入っていったのでしょう?
そしてGリーグの選手として登録するということは、どれくらいすごいことなのでしょうか?

改めてGリーグの基本を見ていきましょう。

そもそもGリーグって何?

まずは基本のキ!
Gリーグの大まかな概要として、名前の由来・リーグの役割・歴史・傘下チームの3点を見ていきます。

名称の由来

NBAの公式下部リーグであるGリーグの正式名称は「NBA G League」。
名称にある「G」はゲータレード(Gatorade)のGです。

ゲータレードは特にアメリカでトップシェアを誇るスポーツ飲料で、NBAの試合中にもたくさん見かけることがありますね。

コート内外でよく飲んでいますよね

日本でも大正製薬に始まり最後はサントリーが国内販売を手がけましたが、2015年に国内販売は終了しています。
そのため、現在中学生以上の方は、そもそも日本でゲータレードを見たことがないのが当たり前だと思います。

おっさんは悲しい…。

そんなゲータレードの名前がどうしてリーグの名前に入っているかといえば、言わずもがな、スポンサーシップだからですね。

Gリーグの役割は?

Gリーグは、選手・コーチ・オフィシャル(審判等)・トレーナー・フロントオフィススタッフが、世界最高峰のリーグであるNBAで仕事を果たせるだけの準備が整ったかどうかを見る場所であり、同時にその準備を手助けするための場所でもあります。

例えば審判に限れば、NBAへの道の過程では必ずGリーグでの笛を吹くことになるのです。
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当然、準備は選手も対象です。
リーグに所属する選手はNBAチームからの招集を受ける権利があります。
Gリーグの選手はたとえどのチームにいたとしても、NBAのすべてのチームと契約を結ぶことができます。

もちろん、NBAのチームからGリーグに選手を送ることもあります。
その場合にはNBAチームが提携するGリーグチームにのみ送ることが可能で、選手の技術やプロのメンタリティなどの育成を目指します。

また最近、Gリーグは将来NBAでのドラフト指名を目指すトッププロスペクトを集めたチーム「G League Ignite(Gリーグ・イグナイト)」と呼ばれるチームも設立。
NBA Gリーグ・チャンピオンシップでの優勝を目指しながら、バスケットの技術はもちろん、金融リテラシーや地域奉仕などに関する教育も施します。

実際、イグナイトからNBAでドラフト指名された選手には以下のような選手がいます。

•ジェイレン・グリーン(2021年、全体1位)
•ジョナサン・クミンガ(2021年、全体7位)
•アイザイア・トッド(2021年、全体31位)
•ダイソン・ダニエルズ(2022年、全体8位)
•マージョン・ボーチャンプ(2022年、全体24位)
•ジェイデン・ハーディー(2022年、2巡目7位)

お時間ある方だけどうぞ!

イグナイトは要するに、「NBAドラフトでの指名を目指したいけど大学にはいきたくない・いけない」という選手の受け皿なんですね。

というのも、高校生の頃からバスケットで活躍し、大学からスカラーシップ(奨学金)のオファーを受けて、進学してNCAAトーナメントで活躍し、NBAドラフトへ…この流れでNBAに行けるのって、本当に一握りの、スーパー超絶反則級エリートなんですよ!

だからこそ、強豪大学から声がかかるように、バスケが強いプレップスクール(日本でいう予備校)に通うという選択肢が出てくるわけですね。
NBAドラフトで指名されるには、強い大学を出るのが一番だからです。

ただし!
しつこいですけど、これは非常に狭い門です。

また金銭面の問題もあります。
いつ声がかかるかも分からないまま、ただお金を払ってプレップスクールに通い続けることは、多くのプレイヤーにとって簡単ではありません。

だからこそ、イグナイトなんです。
NBAほどでないですが、イグナイトに所属すれば契約金をもらえますし、プロとして試合に出る以上より実践的なスキルがみにつけられます。
しかも金融リテラシーなどの知識まで教育してもらえるというのですから、文句なしというわけです。

そうして19歳になったとき、満を辞してNBAドラフトにエントリーするわけですね。

ちなみに、世界にはイグナイトと同じニーズをキャッチアップしているリーグがあります。
それがオーストラリアのNBLですね。
詳しくはこちらの記事をどうぞ!

発足の歴史は?

「育成」を目的としたリーグとしての沿革は、実はなかなかに深いんです。
そもそもの始まりは、NBAよりも僅かに発足が早かったプロバスケットボールリーグ「CBA」まで遡ります。

NBAよりも半年早く、1946年4月に発足したCBAは、80年台初期にNBAと提携を結びます。
何を隠そう、今日もNBAにある10日間契約というシステムは、CBAの選手とNBAが契約する際のフォーマットとして開発されたものなんですね。

つまりCBAは、NBAの育成リーグとしての役割があったわけです。

実際、2000年にはNBAはCBAの買収も検討しましたが、失敗しています。
NBAとCBAの関係はいつも良好だったわけでなく、時に競合相手でもあったわけです。

そんなこんなで2001年、NBAは正式に自身で下部リーグを発足させました。
「NBDL(National Basketball Development League)」ですね。

当初は8チームで始まったものの、2006年にはCBAから4チームが合流するなど、広がりを見せていきます。

NBDL出身のNBA選手の有名どころを上げますと、クリス・アンダーセンがいますかね。
彼はNBDL傘下のフェーエットビル・ピストンズで2001年に2試合プレイしたのちデンバー・ナゲッツにコールアップ(招集)され、NBAでのキャリアを歩み始めます。

正真正銘、NBDLからNBAへと登っていった初めての選手でした。

レブロン・ウェイド・ボッシュのBIG3を支えました

高いジャンプ力と派手な見た目から「バードマン」の愛称で呼ばれたアンダーセンは2013年にNBA優勝を果たしています

2005年になると、NBDLは「NBA D League(NBA Development League)」と改称します。
続々とチームを増やしながら2017年まで活動したのち、2017-2018シーズンからはゲータレードとの複数年のタイトル契約を締結してGリーグへと改称されたのです。

現在でも、GリーグからNBAへと「昇格」する際には10日間契約から始まるのが面ですね。

傘下チームはどれくらい?

Gリーグに参戦しているチームは2022-2023シーズン時点で、以下の31チームあります。

•オースティン・スパーズ
•バーミンガム・スクアドロン
•デラウェア・ブルーコースツ
•キャピタルシティー・ゴーゴー
•メキシコシティー・キャプテンズ(カピネタス)
•クリーブランド・チャージ
•カレッジパーク・スカイホークス
•モーターシティー・クルーズ
•インディアナ・マッドアンツ
•Gリーグ・イグナイト
•グランドラピッド・ゴールド
•グリーンズボロ・スウォーム
•アイオワ・ウルブズ
•ロングアイランド・ネッツ
•メイン・セルティックス
•メンフィス・ハッスル
•オンタリオ・クリッパーズ
•オクラホマシティ・ブルー
•オセオラ・マジック
•ラプターズ905
•リオグランデバレー・バイパーズ
•リップシティ・リミックス
•ソルトレイクシティ・スターズ
•サンタクルーズ・ウォーリアーズ
•スーフォールズ・スカイフォース
•サウスベイ・レイカーズ
•ストックトン・キングス
•テキサス・レジェンズ
•ウェストチェスター・ニックス
•ウィンディシティー・ブルズ
•ウィスコンシン・ハード

Gリーグで戦った日本人たち

過去、Gリーグで戦った誇らしい日本人選手たちを見ていきましょう!

田臥勇太選手

2004年にサンズと契約し、日本人初のNBA選手となった田臥選手。

その前年である2003-2004シーズンには、当時ABA(アメリカン・バスケットボール・リーグ)所属だったロングビーチ・ジャム(現モーターシティー・クルーズ、ベイカーズ・フィールドジャムのさらに前の名称)で1年過ごしていました。

ジャムでは18試合に出場し平均5.3得点、2.4リバウンド、6.3アシスト(チームハイ)を記録し、翌年にサンズのキャンプによばれるわけですね。


なお田臥選手はサンズ・クリッパーズとNBAを渡り歩いたのち、Dリーグに戻って2007-2008シーズンまでプレイしました。

富樫勇樹選手

富樫選手は2014-2015シーズンにテキサス・レジェンズと契約し、プレイした選手です。
それまでbjリーグで活躍していた富樫選手は、サマーリーグを経てマーベリックスと契約ののち、マブス傘下のレジェンズに送られました。

サマーリーグの頃からしばしば注目された富樫選手ですが、レジェンズ在籍時に足首を負傷。回復状況も芳しくなく、イタリアでのプレシーズンを経験したのちに千葉ジェッツと契約しました。

渡邊雄太選手

現在サンズに所属する現役NBA選手の渡邊選手は、サマーリーグののち2018年にグリズリーズとツーウェイ契約を結びました。
Gリーグでの所属チームはメンフィス・ハッスルです。

また2020-2021シーズンんはラプターズと10日間契約を締結ののち、ツーウェイ契約。
ラプターズ905で経験を積みながら、NBAでの実戦経験も増えていきましたね。

その後の活躍は言うまでもありません!

2way契約とは?

NBAチームと、提携するGリーグチームの双方に所属する契約のこと。NBAチームは育成選手を他チームに奪われる心配なく、将来性を見極められる。

馬場雄大選手

アルバルク東京で優勝を果たしたのち、2019年にNBA挑戦を発表した馬場選手。
2019-2020シーズンにはテキサス・レジェンズと契約し、41もの試合に出場しました。

2020年にはNBLのメルボルン・ユナイテッドと契約し、ここでも優勝を経験。
2021年にレジェンズに復帰したのち、ユナイテッド再加入も経て2023年9月、長崎ヴェルカと契約に至りました。

サマーリーグではウォーリアーズの選手として戦うなど、あと一歩の印象もあった馬場選手は、日の丸を背負って戦ったワールドカップでの活躍も印象深いですよね。

Gリーグのレベル&サラリーはどれくらい?

ここまでGリーグの概要について見てきました。
ここで気になるのは、やっぱりリーグのレベルですよね。

Gリーグは実際、どれだけNBAと近いんだって話ですよ。
準備ばっかさせて、全然NBAに招集されないとか、NBAドラフトで指名を受けられるのはイグナイトの選手だけとか、そんなんじゃ肩透かしじゃないですか。

Gリーグのレベルは、Gリーグやその前身のDリーグ出身の選手を見ていけば自ずと見えてきます。
「あの選手もGリーグ出身なの!?」と驚くかもしれませんよ!

Gリーグ出身の現役NBA選手

パスカル・シアカム

インディアナ・ペイサーズに移籍したばかりのシアカムは、ラプターズの生え抜きとして、かつてカイル・ラウリーやカワイ・レナードらとともにチームを支え、優勝に導いた立役者の一人です。

シアカムは2016年に1巡目27位でラプターズに指名されたシーズンに、育成の意味でGリーグ(当時はDリーグ)のラプターズ905とラプターズを行き来していました。

Gリーグファイナルにおけるバイパーズとの試合では平均23得点、9リバウンドの活躍を見せ、優勝に貢献。
ファイナルMVPにも輝いたのです。

ルディー・ゴーベア

オールスター3回、最優秀守備選手賞3回、リバウンド王1回、ブロック王1回…。
今や名実ともにスタービッグマンのゴーベアも、Gリーグでの経験があります。

2016年、ナゲッツに1巡目27位で指名されたのちジャズにトレードされたゴーベアは、同シーズンにGリーグ(当時Dリーグ)傘下のベイカーズフィールド・ジャム(現モーターシティー・クルーズ)と契約し、8試合にスターターで出場しました。

現NBA選手の半分はGリーグ経験者!

シアカムとゴーベアからもわかるように、Gリーグには将来NBAのスター選手となれるほどの逸材がひしめき合うリーグです。

実際、2023-2024シーズンが開幕した時点で、シーズン開幕ロスターの選手の半数がGリーグでプレイしたことがあるという記録があります。

今まさにNBAで戦う選手の2人に1人はGリーグでプレイしたことがあると考えると、これはすごいことじゃないですか!?

Gリーグの年俸は?

Gリーグの年俸については、選手協会の取り組みもあって増加傾向です。
まず最低年俸は約4万ドル(約600万円)でした。
※ドル円148円で換算(2024年1月31日時点)

渡邊選手がハッスルに所属していた2018年は3万5000ドル。
またNBAの内部に詳しいシャムズ氏によれば2020年は3万7000ドルだったわけですから、順調に伸びてきていると考えられますね。

労使協定によれば最低保証5万ドルを目指していくとのことなので、Gリーグの年俸はますます伸びていくでしょう。

なおツーウェイ契約などでNBAの試合に出場したGリーグ選手のサラリーは、基本的に日割りです。

ちなみに…もちろんGリーグにも例外はあります。
ドラフト指名確実の、いわゆるトッププロスペクトには4万ドルだの5万ドルだの、そんなちっぽけな話はしません。

そう。
上に書いた、イグナイトと契約するような選手については契約の種別が例外的なのです。
実際、イグナイト時代のジェイレン・グリーンは50万ドル(約7400万円)相当を受け取ったという報道もあります。

NBAを目指す若者のトッププロスペクト市場は競争が激化していますから、そこは NBAも出し惜しみしませんね。

Bリーグとはどっちがレベルが高い?

さて、ここまでかつての所属選手やサラリーの面から Gリーグのレベルを見てきました。

気になるのは、Bリーグとのレベル差ですよね。

まず選手のレベルですが…これは圧倒的にGリーグと言わざるを得ないでしょう。
下部リーグとはいえ、GリーグはやはりNBA直轄の育成リーグです。

将来NBA選手になる見込みがある選手だけがそこにいて、その中でもさらにNBAとの距離感で差がある世界です。

これまで田臥選手や富樫選手、馬場選手、渡邊選手といった日本を誇るバスケ選手がGリーグでプレイしましたが、NBAのコートに立ったことがあるのは田臥選手と渡邊選手の2人だけ。
さらにNBAで5試合以上プレイしたことのある選手は渡邊選手のみ。
これが現実です。

もちろん、これを悲観するようなことを言いたいわけじゃないです。
むしろ彼らは、よくぞそんなレベルの高いリーグで戦ったのだと言えるのではないでしょうか。

だって、

シアカムとかゴーベアがいたようなリーグですよ…?

お金の面からも見ていきます。
Bリーグは選手個別の年俸を公開していませんが、最低保証額は明記していて、B1なら300万円、B2なら240万円です。

対してGリーグは最低4万ドル600万円ですから、雲泥の差ですね。
市場規模においても、GリーグはBリーグを圧倒していると言わざるを得ないでしょう。